特別な検査
脳の検査
目から入った情報を認識するとき,赤ちゃんの脳はどのような働きをしているのでしょうか?
太陽に手をかざすと、指のあいだの肉が薄くなっているところが赤く見えますが、これは太陽光線に含まれる光の中でも,赤い光は体を通り抜けやすい性質をもっているからです。
本研究室では,体を通り抜けやすいという赤い光の性質を利用して,安全に脳の活動を計測することができる装置,「光トポグラフィ*1」を使って赤ちゃんの脳の働きを調べています。
*1この装置は日立メディコ(株)により開発されたもので,すでに他の多くの大学や病院でも用いられています.
*装置の仕組み*
この装置では,光ファイバーを通して赤ちゃんの頭に光*2をあてて,脳から反射される光の量を計測します。この光の量の変化から,赤ちゃんの脳の働きを調べます。光ファイバーはやわらかいシリコンパッドでおおわれ,赤ちゃんのお肌にもやさしい作りになっています。
*2この装置では,近赤外光という光を用います。近赤外光は赤外線の一種で,暖房器具などに利用されている遠赤外光よりも,目に見える光に近い領域の光を指します。
検査装置からでる光の量はごくわずかで,体への影響はなく安全です。
1. 赤ちゃんに,シリコンパッドにおおわれた光ファイバーの付いた特別な帽子をかぶってもらってもらいます。
*検査時は、こちらのスタッフが赤ちゃんを抱っこさせていただきます。お母さんは同じ部屋で赤ちゃんのご様子を観察できます。
*一度にたくさんの検査をすると赤ちゃんが疲れるため,視力検査とは別の日にお越し頂きます。
2. 帽子を装着したところで,パソコンのモニターに出てくる「顔」の映像を見ます。顔を見ているときの赤ちゃんの脳の活動が記録されます。
めがねの検査
この検査では赤ちゃんが立体的に見る能力を調べます。
私達が目にしているものは,右目と左目のそれぞれの映像を合成したものです。右目と左目に入ってくる映像は全く同じものではなく、少しズレた映像です。
このズレの量を脳のなかで分析することで、私達は物の奥行きを感じることができます。
では、赤ちゃんも左右の目から入ってくる映像のズレから立体感を感じることができるのでしょうか?
この検査では赤ちゃんに立体映像を見るためのメガネをかけてもらい,左右の目に入ってくる映像の違いから立体感を感じているかどうか通常の視力検査の後、立体を見る「めがね」をかけて、飛び出す映像を見てもらいます。
*立体メガネの仕組み*
この検査は、特殊な眼鏡を使用します。3Dシアターなどでも利用されるメガネと似たような仕組みでできています。右目と左目に赤色と緑色のフィルターがあり、それを通して右目と左目に別々の映像が入り、立体が見えるようにできた眼鏡です。
*立体視力の検査時間は5~10分程度となります(めがねを付ける時間を含みます)
*脳の検査とめがねの検査も、検査の流れは検査の様子と同じです。